根抵当権とは(ねていとうけん

  根抵当権(ねていとうけん)とは、一定の範囲内の不特定の債権を極度額の範囲内において担保するために、不動産上に設定された担保物権のことです。

  この様に、民法第398条の2第1項に書かれています。

  しかしこの条文だけでは、ほとんどの方は意味がさっぱりわかりません。

  そこで根抵当権が生み出された背景から、あげてわかりやすく説明します。

  そもそも根抵当権とは、銀行から何度もお金を借りたり返したりする会社の利便性のために、そして経済活性化のために作られた法律です。

  日本の民法には「経済を活性化させて国を豊かにするための法律である」という前提があります。

  これを知っていると、難しいと思える法律も簡単にわかるようになってきます。

  普通は、銀行からお金を借りたら抵当権を設定し、銀行にお金を返したら抵当権を抹消します。

  しかしお金を何度も借りては返すたびに、抵当権を設定したり抹消したりするのは面倒。

  この方法は、効率が悪いのではと考えられるようになりました。


  そこで銀行がまず、お金を貸す上限の金額を決めます。

  この上限の金額を「極度額」といいます。

  そして、その金額の範囲内なら、何度借りたり返したりしても、抵当権は何も変更しない。

  最初に設定したままにする。ということが考え出されました。

  このお金を何度借りても返しても、そのつど抵当権を設定したり抹消したりしない。

  ずっとそのままにしている抵当権のことを「根抵当権」といいます。

根抵当権の具体例

  たとえば、

  4月29日、A会社が月末の支払いに現金が足りないため、B銀行から1800万円を借りて抵当権を設定

  5月12日、A会社のお客から1800万円の入金があったため、B銀行に1800万円を返済して抵当権を抹消

  5月28日、A会社が月末の支払いに現金が足りないため、B銀行から2000万円を借りて抵当権を設定

  6月11日、A会社のお客から2000万円の入金があったため、B銀行に2000万円を返済して抵当権を抹消

  というようなことを毎月毎月繰り返していると、抵当権の設定と抵当権の抹消がとても面倒だと思うようになります。

  そこで、A会社とB銀行の間で、貸し出し上限2500万円の根抵当権を設定することにしました。

  つまりA会社は2500万円の価値のある土地を、お金を返せないときは競売で取られてもいいですよ、という契約をB銀行との間で結んだのです。

  4月29日、A会社が月末の支払いに現金が足りないため、B銀行から1800万円を借りるが、根抵当権の金額の範囲内なので何も手続きせず。

  5月12日、A会社のお客から1800万円の入金があったため、B銀行に1800万円を返済する。根抵当権はそのまま。

  5月28日、A会社が月末の支払いに現金が足りないため、B銀行から2000万円を借りる。根抵当権の金額の範囲内なので何も手続きせず。

  6月11日、A会社のお客から2000万円の入金があったため、B銀行に2000万円を返済する。根抵当権はそのまま。

  というようになり、お金のやりとり以外は、何もしなくていいのです。

  銀行としては、貸し出す上限金額に見合う土地を提供してくれれば、問題ありません。

  もしお金を返してもらえないときに、その土地を売却すれば上限金額までは十分に回収できるので、損をすることはありません。

  上記の例でいえば、B銀行は貸した2000万円のお金を返してもらえない場合は、2500万円の土地を競売にかけて2000万円を回収し、あまった500万円はA会社へ渡せばよいのです。

  お金を借りるA会社としては、お金を借りたり返したりするたびに抵当権の手続きをする必要がなくなるため、お金を借りたり返したりする手続きがとても簡単になります。

  A会社がお金を返せないとき、返せない金額の大小にかかわらず、2500万円の土地が競売にかけられてしまいます。

  そして、競売であまったお金は戻ってきます。

  何よりもお金をきちんと返しさえしていれば、土地を取られることはないのですから、なんら不利益はないのです。

  このように根抵当権とは、実際の取引をより簡単にして経済を活性化させるために作り出された法律なのです。

  事実、根抵当権の存在が日本の中小企業の経済発展に大きな役割を果たしました。

  そして戦後まもないころの一部の中小企業が、根抵当権を存分に活用して世界を代表する大企業へと成長していったのです。

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