根抵当権の元本確定とは

  根抵当権には抵当権とは異なり「元本確定」という考え方があります。

  根抵当権は、お金を何度借りても返しても、上限金額の範囲内ならそのつど抵当権を設定したり抹消したりせずに、ずっとそのままにしているものです。

  ところが何らの理由で根抵当権を終わらせたい、ということが発生します。

  たとえばA金融機関がB会社からお金を返してもらえなくなったので、B会社との取引は終わりにしてB会社の土地を競売にかけて換金したいな、と思ったときなどです。

  また金融機関とB会社との間で、初めから今回の根抵当権は2年でやめにしましょう、という契約をしていたときなどです。

  このように根抵当権をやめる場合、やめる時点でいくらお金を返済する義務が残っているのかハッキリさせましょう、とすることを根抵当権の「元本確定」といいます。

根抵当権は元本確定すると、抵当権と同じになる。

  根抵当権が元本確定すると、その根抵当権は抵当権と同じになります。

  なぜなら元本確定とは、何月何日時点で何円の返済義務があると決めてしまい、それ以後は新たにお金を貸すことはしないからです。

  これはまさに抵当権の債権と同じことですから、抵当権になってしまうのです。

  根抵当権が元本確定して抵当権になってしまえば、根抵当権と抵当権の違いもなくなってしまいます。

  例えば元本確定した根抵当権は、根抵当権設定者の承諾不要で移転できてしまうし、連帯債務者への変更も認められるようになります。

②根抵当権の元本を確定してしまう理由は、全部で10個ある

  根抵当権の元本が確定してしまう理由のことを「根抵当権の元本確定事由」といいます。

  そして「根抵当権の元本確定事由」は下記の10種類あり、どれからひとつでも発生すれば元本が確定して抵当権となってしまいます。

根抵当権の元本確定事由

・元本の確定期日の到来(初めからそういう契約をしている)

・根抵当権者が元本の確定請求をしたとき(確定期日が決まっていない場合)

・確定期日がなく根抵当権がはじまって3年を経過してから、根抵当権設定者が元本の確定請求をしたとき

・根抵当権者が競売の申し立てをしたとき

・根抵当権者が差し押さえをしたとき

・第3者が競売や差し押さえをしたことを、根抵当権者が知って2週間が経過したとき

・債務者または根抵当権設定者が破産したとき

・根抵当権者または債務者に相続が開始し、6ヶ月以内に指定根抵当権者または指定債務者の登記をしなかったとき

・根抵当権者または債務者に合併が生じ、根抵当権設定者が元本の確定請求をしたとき

・根抵当権者または債務者に会社分割が生じ、根抵当権設定者が元本の確定請求をしたとき

いったん元本が確定したら、自分で元本確定の撤回はできない

  何らの理由で根抵当権の元本が確定してしまったら、その元本確定が取り消されることはまずありません。

  いったん元本確定すると様々な権利関係ができあがってしまうので、それをすべてなかったことにしてしまうと、経済的な損失がとても大きいからです。

  もしまた根抵当権をしたいということでしたら、もう一度根抵当権の登記をしたほうが合理的です。

  このように民法は、経済を発展させたいという理念があることを前提に考えると、なぜそのような法律となったのかという「立法趣旨」というのものが、簡単に見えてくるようになります。

  この「立法趣旨」がわかると、法律の暗記や理解がとても簡単にできるようになります。

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